近年私たちの生活において、身近な存在となりつつある無人航空機(ドローン)。
世に出回った当初こそ、その物珍しさから特別な存在として扱われていましたが、今では趣味として飛ばしたり、上空から撮影したり、仕事で活用したりと、身近な存在となっています。
そんなドローンですが、令和4年6月20日から登録が義務化されました。
今回は、なぜ登録が必要なのか?登録が義務化されたことで何が変わったのか?登録に必要なリモートIDってなんなのか?等について分かりやすく解説します。
なぜ登録が必要なの?
これまでドローンの登録なんて必要なかったのに、なんでこんな面倒なことしないといけないんだろう...
登録制度が定められた背景として、令和3年11月25日制定の無人航空機登録要領(国官参次第116号)に、次のとおり趣旨が記載されています。
航空法(昭和 27 年法律第 231 号。以下「法」という。)第 11 章第1節による無人航空機の登録制度は、事故等の原因究明や安全上必要な措置の確実な実施を図る上での基盤とする無人航空機の所有者情報等の把握等の仕組みを整備することにより、無人航空機の飛行の安全の更なる向上を図る趣旨で設けられているものである。
無人航空機登録要領.pdf (mlit.go.jp)
要するに、登録制度を設ければ、ドローンの所有者情報とかもすぐに把握できるから、事故が起きたときの原因究明とかも素早くできるようになるよね!だから、ドローンの飛行も安全性が向上するよね!ということです。
ドローンの登録が義務化されたことで何が変わったの?
100g以上(機体およびバッテリー重量の合計。バッテリー以外の取り外し可能な付属品の重量は含まない)のすべてのドローンは、登録をしたうえでリモートID機能を備えなければ飛行させることができないこととなりました。
未登録のままドローンを飛行させた場合には、航空法第157条の7第1項第1号の規定により、1年以下の懲役または50万円以下の罰金となります。
(無人航空機の飛行等に関する罪)
第百五十七条の七 次の各号のいずれかに該当するときは、その違反行為をした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
一 第百三十二条の二の規定に違反して、無人航空機を航空の用に供したとき。
航空法 | e-Gov法令検索
第132条の2の規定というのが、登録したドローンしか飛ばしちゃダメだよー!という規定です。
まだ義務化が開始されて間もないから、今なら未登録で飛ばしてもバレなさそうだし、問題ないでしょ!
なんて軽い気持ちで飛行させて罰せられたら目も当てられません。未登録のドローンは絶対に飛行させないようにしましょう。
ちなみに、100g未満のドローンであれば、登録やリモートID機器の搭載は必要ありません。そんなこともあってか、最近では100g未満で画像や動画等を高性能で撮影できるドローンも増えてきています。
Amazonから購入ができる100g未満のドローンを以下に貼り付けますので、参考としてください。
登録するためにはどんな手続きが必要か?
ドローンの登録手続きか...なんだか難しそうだし、面倒くさそうだなあ...
ドローンの登録申請は、①ドローン情報基盤システムによるオンライン提出、②郵送による提出、のいずれかの方法とされています。
また、申請においては、無人航空機の種類、型式、製造者、製造番号など、17個の項目を申請書に記載する必要があります。申請書の項目は以下のとおりです。
国土交通省HP001445674.docx (live.com)
なお、申請には手数料が掛かります。申請方法および本人確認の方法ごとに以下のとおりとされています。
申請方法 | 本人確認方法 | 1機目 | 2機目以降※ |
オンライン | ①マイナンバーカードに記録された電子証明書を送信する方法 | 900円 | 890円/機 |
②GビズIDのアカウントにログインする方法 | |||
③運転免許証またはパスポートおよび顔面の画像データを用いた顔認証を実施する方法 | 1,450円 | 1,050円/機 | |
④本人確認書類を郵送する方法 | |||
郵送 | ⑤本人確認書類を郵送する方法 | 2,400円 | 2,000円/機 |
登録の申請について、より詳しい内容を知りたい方は、無人航空機登録要領の「3.登録に係る手続き」をご確認ください。
リモートID機能ってなに?
さっきからちょいちょい出てくる『リモートID機器』って何だろう?美味しいのかな?
簡単に説明すると、登録した機体の識別情報を電波(リモート信号)で遠隔発信する機能を持った機器です。
最近販売されているドローンでは、①初めから機体に内蔵されている場合、②ファームウェアの更新により対応できる場合、が多いですが、少し前の型のドローンでは、③外付け型リモートIDを装着する必要があります。
さらに、リモートID機器については、令和3年 12 月1日 制定 リモート ID 機器等及びアプリケーションが備えるべき要件(国官参次第 122 号)のなかで、どういった性能が必要となるのか等、性能要件が定められています。この性能要件に該当していないリモートID機器を搭載することによる飛行は認められていないので、注意が必要です。
001444589.pdf (mlit.go.jp)
- RID 機器等の性能要件
(1) リモート ID 信号(以下「RID 信号」という。)は、Bluetooth 5.x LongRange(以下「Bluetooth 5.x」という。)、Wi-Fi Neighbor AwarenessNetworking(以下「Wi-Fi Aware」という。)又は Wi-Fi Beacon の無線方式による直接放送方式(RID 機器等から発信された RID 信号を受信機能を有する端末が直接受信する通信方式)により発信されるものでなければならない。
上記の要件は数ある要件のなかの一部です。他にもリモート信号のデータ形式や製造に係る要件も定められているので、気になる方はこちらから確認してください。
なお、リモートID機器の規格が適合しているとして、届出があったリモートID機器等一覧も国土交通省から公開されています。外付け型リモートID機器を購入したけど、実は適合していなかった!ということのないように、確認してから購入いただくことをおすすめします。
Amazonから購入ができる外付け型リモートID機器を以下に貼り付けますので、参考としてください。
なお、遠隔発信された電波は、「DIPS APP」というアプリを使えば、スマホ等の端末から誰でも受信することが可能です。
「DIPS APP – ドローンポータルアプリ」をApp Storeで (apple.com)
例えば上空をドローンが飛行していて、「あのドローンについて情報が知りたい!」というときには、アプリを使えば、機体種別や緯度・経度などの情報を見ることができます。
以下の画像は、実際に電波を受信した場合のアプリ画面です。(DIPS APPのサイトから引用)
次はリモートID機器の搭載が免除される要件について解説していきます。
リモートID機能の搭載が免除される要件
安全向上のために必要となるリモートID機能ですが、航空法施行規則第236条の6第2項第1号の規定により、搭載が免除されるケースがあります。
航空法施行規則第236条の6第2項
2 前項第二号の規定は、当該登録無人航空機が次のいずれかに掲げる飛行に用いるものである場合については、適用しない。
一 あらかじめ国土交通大臣に届け出たところに従つて当該届出に係る区域の上空において行われる登録無人航空機の飛行であつて、国土交通大臣が定めるところにより、次に掲げる措置が講じられているもの
イ 当該届出に係る区域の上空における無人航空機の飛行を監視するために必要な補助者の配置その他の措置
ロ 当該届出に係る区域の範囲を明示するために必要な標識の設置その他の措置
二 十分な強度を有する紐等(長さが三十メートル以下のものに限る。)で係留することにより登録無人航空機の飛行の範囲を制限した上で行う飛行
三 警察庁、都道府県警察又は海上保安庁その他国土交通大臣が指定する機関の業務であつて警備その他の特に秘匿を必要とするもののために行う登録無人航空機の飛行
航空法施行規則 | e-Gov法令検索
上記だと少し堅苦しいので、もう少し簡単に説明すると
- 令和4年6月19日(登録制度が義務化される前日)までに登録をした機体で行う飛行
- リモートID特定区域の上空であって、飛行を監視するための補助者の配置、区域の範囲の明示など必要な措置を講じた上で行う飛行
- 十分な強度を有する紐など(長さ30m以内のもの)により係留して行う飛行
- 警察庁、都道府県警察または海上保安庁が必要とする業務のために行う飛行
以上の4点が、リモートIDの搭載が免除される要件です。
リモートID特定区域とは?
リモートIDの搭載義務が適用除外となる区域です。特定区域として届出することが可能なのは、航空法施行規則第236条の6第2項第1号の措置を講じたものとされています。
航空法施行規則第236条の6第2項第1号
一 あらかじめ国土交通大臣に届け出たところに従つて当該届出に係る区域の上空において行われる登録無人航空機の飛行であつて、国土交通大臣が定めるところにより、次に掲げる措置が講じられているもの
イ 当該届出に係る区域の上空における無人航空機の飛行を監視するために必要な補助者の配置その他の措置
ロ 当該届出に係る区域の範囲を明示するために必要な標識の設置その他の措置
航空法施行規則 | e-Gov法令検索
上記イとロの措置について、令和3年11月24日制定のリモートID特定区域の届出要領の「5.特定区域の上空における飛行に当たって講じる措置」に詳しく記載されています。ぜひご確認ください。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、ドローンの登録が必要となった背景や登録に係る手続き、リモートID機能やその搭載免除などについて説明しました。
これからますます需要が高くなり、注目度も高くなるであろうドローン。持っているけど登録していない人、これから購入を考えている人たちにとって参考となれば嬉しいです。
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